director's voice

フクシマアズサさん(風人)

今年初めて風人をしてくださるフクシマアズサさん。
箒(ほうき)を種まきから収穫までを行い、
その素材で制作まで行っている女性です。

Q1
フクシマさん、今年の「工房からの風」では何を担当くださいますか。

A1
今年は「素材の学校」で、ほうきの時間を担当させていただきます。

ほうきの時間では、子どもたちにほうきの材料である
「ホウキモロコシ」という草を脱穀するところから体験してもらい、
机の上を掃除できる小さなほうきを作っていただきます。

また、今年6月からコルトンプラザにある「手仕事の庭」で
庭人さんたちと一緒にホウキモロコシを栽培したのですが、
その草を使って作った「庭のほうき」も展示します。

「風のケミストリー」では、アトリエ倭さんの木工の仕事と、
そしてRIRI TEXTILEさんの染めの仕事と
ご一緒させていただいた作品を出品する予定です!

フクシマ

「工房からの風」の会場内の「手仕事の庭」では、ホウキモロコシをずっと育ててきました。
今年は、フクシマさんからの種でフクシマさんの育て方で育成してみたのです。
耕しや畝づくりから、目から鱗なことばかり。
何より、私たちは例年熟させすぎていたんですねー。
種取り分以外は、箒に適した育ち具合で収穫するのだと教えていただきました。

それにしても、ほうきの素材を植えている会場!とおうのもレアですし、
吉田慎司さんとともに、ふたりの若き箒職人が風人さんというのも、
世界中でここだけ!(大げさですが)ですね。

Q2
フクシマさんは、何年に出展しましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてください。

A2
昨年の2017年に出展しました。
今でも鮮明に残っている記憶は、
あるお客様がほうきを目にした瞬間、
「わぁ、ほうきだ!」
ととてもまぶしい笑顔で、両手を伸ばして、
ほうきを手にとって見てくださったことです。

ほうき作りの半分は畑仕事で、
肉体的に辛い場面がたくさんあるのですが、
約半年間、「工房からの風」を目指してやってきたことが、
この瞬間に「報われた」と思いました。

素材の学校(ほうき)

それは幸せな瞬間でしたね。
作家にとって、このような瞬間がどんなに糧になることでしょう。
「工房からの風」のお客様は、ほんとうにこのようなあたたかな方が多いのだと、
毎回、作家からのお話しから感じています。

Q3
木を素材として作られたもので、心に残るもの、
または、大切にしているものを教えてください。

A3
とある木工作家さんが作ったコーヒーメジャーです。
これを手に入れたのは大学2年生のときで、
貧乏学生だった自分には思い切った買い物でした。

材質はサクラの木。
シンプルな形で、仕上げはオイルフィニッシュ。
使えば使うほどコーヒーの油が染みて色づき、香りもコーヒーに。
毎日使うごとにその記憶が刻まれていくようで、
道具を使い込むことの喜びを教えてくれたのはこのコーヒーメジャーでした。

愛用するほどに艶めき育つ、というのが顕著なのが木の道具ですね。
若く懐の自由がきかない中で手に入れたもので、
「よかった!」と思えたものは、それからの暮らしや考え方にも影響を与えてくれますね。
フクシマさんが作る箒をはじめ、工房からの風でご紹介するものが、
誰かのそのような宝物になってくれますように。
そう願うばかりです。

フクシマアズサさんは「素材の学校」や、「五行テント」を中心に会場をみてくださいます。

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